井口日記!

劇団ドリームチョップ代表のイグチが、演劇のこととか教育のこととか 奥さんのこととか何となくダラダラ書いてみたんですよ、 というスタンスの日記です。

観たり読んだり

『バッタを倒しにアフリカへ』読了

先日も書きましたが6月はまさに怒濤の1ヶ月で。
なかなか本を読んでる時間もなかったのですが(というより、「本を読んでます」と広言できない雰囲気すらあったので)、でもちょこちょこ読んでたんですけども。

ヒットです。これ。
『バッタを倒しにアフリカへ』
(前野ウルド浩太郎・光文社新書)



子どもの頃からファーブルに憧れ長じてはバッタの研究に心血を注いできた著者が、アフリカ・モーリタニアへと渡りサバクトビバッタの大量発生を防ぐ「バッタ研究所」で体験した出来事をつづったものなのだが、もうね、真面目なのに面白い。
これって大事だよなあ、と。まさに自分の課題として読めてしまった。

どんなに深い内容であっても読んでもらえなければ伝わらない。
それは逆に言えば、「読んでもらえさえすれば自分の思いは必ず伝わる」という強い自信がなせるわざなのかも。むむむ。

とにかく、オススメの一冊です!


「走れメロス」とか「こころ」とか。

中学2年生の国語の教科書に載っている「走れメロス」。

久々に音読。
(まぁ授業で取り上げたってことですけど)

メロスに限ったことではないですけど、やはりこの時代の作品はフレーズ感がありますね。特にこの「走れメロス」は疾走感が。

高校生になると「羅生門」とか「山月記」「舞姫」「高瀬舟」あたりが題材になるんですけど、読むたびに感じ方が変わってきます。

もちろん自分の年齢によって。
おかれている環境によって。
今の体調によって。心境によって。


教科書シリーズでいうと、今現在のイグチベストは夏目漱石の「こころ」。
言いようのない孤独感とか寂しさが押し寄せてきます。
どれほど愛しても、また固い友情で結ばれていても、最後の部分でひとは利己的な自分を忘れることができない。
人間の持つ圧倒的な「ひとり」の部分。

比較するのはいくら何でもおこがましいですが、「ひとはひとりじゃない」と自分の脚本で書き続けてきた身としては、「ぐへえ」と思ってしまうわけです。


それでも。


それでも、「ひとりじゃない」と書けるなら。
そこに淡いかすかな期待や希望を書けるなら。

もうすこし、ふんばってみたいのです。

巣ごもり正月

今年のお正月はどこにもいかずにまさに「巣ごもり」。
本を読んだりDVD観たり。
まぁこれも正月休みならではですけどね。

新年1本目は
「アリス・イン・ワンダーランド」

ティム・バートン監督でジョニー・デップが出てるやつですな。

・・・と、映画好きのように書きましたが、実は映画はあんまり(ほとんど?)観ないんですよね。
その数少ない中でも一番好きな作品が「ビッグフィッシュ」。
ティム・バートンです。で、「チャーリーとチョコレート工場」も観て、今回の「アリス・イン・ワンダーランド」ときたわけですね。

で、感想ですが。

正直言ってキライな話なんです。
なんですが・・・よかった。
すごいなあって思いました。

まず、キライなところから書きますけど、
こういう話、高校演劇ではとっても多いんですよね。現実世界に不満(とかモヤモヤ)を持った主人公が、ひょんなことから不思議な世界に迷い込み、そこでさまざまな冒険をする。
そしてなんとか使命をクリアして、現実世界に戻ってくる。
現実世界に戻ってきた主人公は、以前と比べ何らかの成長をしている。

・・・みたいなね。

ホント多いんですよね、高校生の創作劇に。
ちょっと前までは「またこれかい!」的な感じでした(さすがに最近はそうでもないかな??)。
第一、人間的に成長するために不思議の国が必要なのかってことですよ。現実とつながってないというか、創作が逃避的になってるのがどうもなあっていつも思ってました。


で、ティム・バートンですよ。

展開はまさに「不思議の国のアリス」です。当然ですけど。
でも、イグチがほぉ!と思ったのは、ここで描かれる世界はアリスの夢ではなく「記憶」だということになってるところです。

父が死に、厳しい現実に押しつぶされそうになって、妥協したりあきらめたりする自分。またそれを嫌う自分。この相矛盾する感情がアリスを苦しめている。
そこに現れる「不思議の国」は逃避的な夢の世界ではなく、大好きだった父親が昔アリスに言っていた言葉が断片となって創りだしている。
だから、アリスはおとぎで成長するのではなく、かつて自分自身が持っていた強さを取り戻す物語になっているわけです。

これ、重要だと思うんですよね。
自分にないものを不思議の国から得るのではなく、忘れてしまったものを取り戻すために不思議の国(言い換えればファンタジー)はあるのだというメッセージになりはしないだろうか。
とすれば現代の私たちにこそ、ファンタジーは必要なのではと思わせる作品となっていたように思います。

あとは、やっぱり映像がきれい。
これはなかなか演劇ではできないとこですけど。
いつのまにか引き込まれる映像は「ビッグフィッシュ」や「チャーリと~」と同じくすばらしいものでした。


ともかく、年の最初から当たりでしたね。
今年もいいものを観たいなぁ!
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